立ち上げ担当者になるまで
55歳。人材サービス業に長く従事している。
テレビCMでよく見るスカウトのサイトに登録していたところ、ある不動産会社の代表から一通のメールが届いた。
「【人材紹介事業の立ち上げ/責任者候補】お持ちのご経験を活かして、当社の事業発展にお力添えいただけないでしょうか?」
「自由にやれるかも」と考え、話しを聞いてみることに。
Zoomで代表とお会いし、事業開始に至った背景などを聞いた。
コロナ禍などもあり、数名居た不動産事業の社員は現在ゼロ。
つまり代表取締役が1名で運営しているとのこと。社長と2人きり。
普通は躊躇する点だろうが、プラスに考えると「気を遣う相手は1名だけ」という環境。これは滅多に手に入れることはできないかなり魅力的な条件と感じた。
現職企業の仕事の仕方がかなり窮屈だったため、渡りに船と思った。詳しい話しを聞きに2次面談で職場訪問。
(社員の採用・雇用は久しぶりだろう、内定通知書など用意されていないだろうな。ひな形を持参し、その場で条件合わせをして通知書を発行してもらおう、その方がお互いに安心できるだろうと思った)
デスクが10台、独立した会議室・応接室がそれぞれあり、キレイで広い。電源タップの数が多い、執務室から外に出るドア横に姿見がある、オフィスの匂い。細かい好みで合う点が割とある。「必要なものはすべて揃えますから言ってください」と。「~万円くらいまでの投資をする準備はあります」、「私は素人なので、口は出せません。相談しながら進めていきたいですが、ほぼお任せすることになると思います」。
これまでの不動産事業で必死になって稼いできた利益を会社の将来のため未知の分野に投資をするという。二度会っただけの人間を信用できるのだろうか。
とてつもなく大きな責任を引き受けることになる。
その場で内定通知書を取り交わし、入社の意思を示した。
(現職への退職の申し出と引継ぎを急がないと)